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混在した表面水酸基と表面アミノ基が評価できます

化学修飾による官能基の修飾処理は、特定の官能基を選択的に修飾できる手法です。これを元素の相対比較が可能なXPSと組み合わせることで、官能基の定量評価が可能になります。一般的に水酸基の修飾は無水トリフルオロ酢酸によるアセチル化が用いられますが、アミノ基が混在している場合はアミノ基もアセチル化され、各官能基量量の把握が困難となります。
今回、アンモニウムによる脱アセチル化により、水酸基のみを選択的に脱アセチル化することで、混在した水酸基とアミノ基をそれぞれ定量することができるようになりましたのでご紹介します。

アセチル化および脱アセチル化反応

無水トリフルオロ酢酸は水酸基・アミノ基ともにアセチル化しますが、その後アンモニアにより処理をすることで水酸基のみ選択的に脱アセチル化されます。
このことから、脱アセチル化で、脱離した標識元素(F)比率≒水酸基比率となり、水酸基とアミノ基を切り分けて評価することができます。

図1 アセチル化および脱アセチル化の化学反応式

XPSによるキトサンの水酸基、アミノ基量評価

水酸基・アミノ基両方を有する材料である、キトサンに本手法を適用しました。キトサンはキチンから精製されますが、精製度によりアミノ基量が異なります。精製度が異なるキトサンについてアセチル化処理を行うと、水酸基・アミノ基両方が修飾されます。脱アセチル化を行うと、高精製品で残存するF比率が高く、アミノ基量が多いことが示されます。
このように脱アセチル処理を行うことで、表面の水酸基・アミノ基両方を有する材料の評価を行うことができます。

図2 各処理後のXPS定量結果
キチンからキトサンを精製

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