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加熱下での四次元X線CTによる「その場」観察

大型放射光施設(ナノテラス)の高輝度なX線を活用した高い時間分解能測定により、従来のラボ装置では困難であったリアルタイムかつ高精度な四次元(三次元+時間)のX線CT観察が可能となりました。これにより、製品の実使用環境を再現しながら、「その場」での変化を直接観察することができ、製品性能をさらに向上させるために有用なデータを得られます。今回は、加熱による発泡過程を四次元CTで「その場」観察した結果を紹介します。

図1 東北大学 青葉山キャンパス ナノテラス

熱発泡材料の内部構造変化の可視化

測定対象は、加熱により発泡して特性を発現する多孔材料です。この材料は、温度が加わることで形状が変化するため、変化の過程を捉えることが特性発現のメカニズム理解において重要となります。測定は大型放射光施設ナノテラス(BL09W)を用いて行いました。図2に示すように、試料を試料台に固定した上で高速回転と加熱し、50ミリ秒ごとに三次元画像を取得することで、加熱変形過程をリアルタイムで観測しました。その結果、加熱によって内部の空隙が膨張し、試料全体が膨らむ様子を捉えることに成功しました(図3)。このように、製品の実際の使用環境を再現し、四次元で内部構造の変化を詳細に観察することで、機能発現や特性低下のメカニズムが解明され、製品性能の向上に寄与する貴重な知見を得ることができます。今回は加熱環境下での測定を行いましたが、引張、圧縮、加水など、さまざまな環境を再現して「その場」観察が可能です。

図2 四次元CTの実験レイアウト
図3 加熱開始から0秒後(左)、1.8秒後(中央)、3.6秒後(右)のCT再構成断面像

測定条件など

  • 測定可能な試料サイズ 直径5 mm×厚さ5 mm以下
  • 空間分解能 5μm/pixel
  • 時間分解能 50 msec
  • 再現環境 加熱 圧縮 引張 加水

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