繊維への表面処理を局所的に評価できます
摩擦帯電性の異なる繊維の複合分析
表面処理前の試料をA、表面処理後の試料をBとして帯電圧測定法を実施したところ、試料Bで摩擦力の低減が認められました。さらに試料Bに施された表面処理を局所的に評価するために飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF-SIMS)による組成分析と原子間力顕微鏡(AFM)による摩擦試験を実施しました。
TOF-SIMS
繊維1本に着目したところ、試料Bに特徴的な成分
として長鎖脂肪族アミンが確認され、表面処理剤
由来と考えられました。長鎖脂肪族アミンは界面
活性剤の一種として一般的に帯電防止の効果が
あることが知られています。
TOF-SIMSの分析深さは表面1nm程度であること
からこの成分が最表面に存在し、摩擦低減効果を
発現していると考えられました〔図1〕 。
AFM
AFMでは局所的な摩擦力を調べるため、繊維1本の表面を円周方向に3µm幅でスキャンした時にかかる力を比較しました〔図2〕 。その結果、試料Aと比べて試料Bの摩擦力が減少していることがわかりました〔表1〕。
その他の応用
- 表面改質表面変質の評価