材料表面のエポキシ基量を調べます
エポキシ樹脂は、接着剤や塗料、絶縁材等に広く利用されており、その硬化度合いを知ることは製品の特性を理解する上で重要です。硬化度合いを確認する一般的な評価法として、硬化反応で消費されなかった残存エポキシ基を赤外分光(IR)分析でモニターする方法があります。しかし、分析対象がミクロンオーダー以下の薄膜材料の場合ではIRシグナルが検出できず、評価が困難です。ここでは、試料極表面のエポキシ基量を調べる方法として、Cl系のラベル化試薬でエポキシ基を化学修飾し〔図1〕、X線光電子分光分析(XPS)により標識元素(Cl)を検出することでエポキシ基量を評価した事例を紹介します。
エポキシ接着剤の接着力が異なる原因調査
同じ配合組成で混合条件の異なるエポキシ接着剤を用いてフィルムを接着し、接着力評価を行ったところ、試料間で接着力に違いが見られました。そこで、剥離で生じた接着剤の凝集破壊面に対して、エポキシ基の化学修飾を行って、XPS分析でその量を調べました。その結果、接着力の弱い接着面の方が残存エポキシ基の量が多いことが確認され、硬化反応の進み度合いが接着力に関与していることが示唆されました〔図2〕。
※ 修飾反応率は材料によって異なるため、試料間での相対比較評価になります。
その他の応用
- 表面処理されたフィルムやフィラー表面のエポキシ基分析
- エポキシ架橋剤の表面ブリード量評価
- 飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)を併用した極微量残存エポキシ基評価 など