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摂動を加えた試料の微小変形を動的に観察できます

リチウムイオン電池(LIB)は、持続可能な社会に向けて重要な役割を果たす製品であり、性能向上のためにさまざまな研究・開発が行われています。LIBの機能発現や特性低下のメカニズムを理解するためには、「摂動を加えた際に何が起きているか」を実際に評価・確認することが有効な手段です。その方法のひとつとして、SEM観察下で試料に摂動(引張・圧縮・曲げなど)を加え、変化の過程を動的に撮影する手法があります。ここでは、SEM装置内に設置可能な引張圧縮試験機を用いて、試料を曲げたときの様子を撮影した事例を紹介します。

LIB電極を曲げた際の挙動の観察

環境負荷が小さく、充電可能で長寿命な上、リサイクルも可能なLIBの内部には、正極、負極およびセパレータが積層されています。製品化された際、これらはロール状に巻かれた状態であるため、実際に屈曲した際の挙動を観察することは重要です。今回は、LIB電極を曲げた際の様子をSEM観察下で再現し、屈曲試験(座屈)中の様子を確認しました〔図1〕。屈曲時のクラックの進展の様子は、治具を傾斜させた表断面の観察に加え、断面からの観察も行いました〔図2〕。
その結果、LIB電極を屈曲(座屈)させた際、表面に亀裂の発生が観察されました。一方、断面の観察より、最表面の亀裂は基材にまで達していることが確認されました。部材の開発や製作時の状態だけでなく、部材の利用環境や最終時の状態を確認することで、製品に生じる影響を確認することができます。当社では、使用環境に合わせた分析・評価を動的に観察することに注力しており、オリジナル治具を作製することで、ご要望に合った測定をご提案いたします。

図1 屈曲試験のイメージ図
図2 観察箇所について
図3 屈曲試験中のSEM観察結果

装置仕様や試験条件

  • 対応可能な試験: 引張、圧縮、三点曲げ、ピール
  • 引張圧縮速度: 0.1~2.0mm/min
  • 最大荷重: 200N
  • オリジナル治具を作製し、各種試験に対応可能

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