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極微量サンプルでの熱挙動が分析できます

フィルムやシート、成型品などにおいて、微小部の分析や評価ができることは重要です。例えば、製品中で発生する微小な欠点は、外観不良や特性の不具合に影響をおよぼします。高分子材料の加工では、加熱/冷却の生産プロセスから、欠点の原因特定には熱挙動の確認が有効な手段となりますが、欠点箇所は極微量(1mg以下)であることが多く、一般的なDSCでは、熱挙動を確認することが困難です。一方、高速加熱/冷却測定を行える入力補償型DSCでは、極微量サンプルでも高感度に測定することが可能です。ここでは、ポリプロピレンシート内の欠点部の測定事例を紹介します。

ポリプロピレンシート欠点部の入力補償型DSC測定

 ポリプロピレンシート中に認められた欠点〔図1〕の一部を顕微FT-IR測定したところ、正常部、欠点部ともに概ねポリプロピレン(PP)が検出されました〔図2〕。

図1 サンプルの外観(OM像)
図2 顕微FT-IR測定結果

そこで、欠点部分をサンプリング〔0.03mg、図3〕し正常部も同量サンプリングして、それぞれ入力補償型DSCで高速加熱測定(500℃/min)したところ、ともにPP由来の融解ピークが観測されました。しかしながら、融点は正常部が161℃であったのに対し、欠点部では164℃と異なっていることがわかりました〔図4〕 。
この差異は、PPの分子量や結晶性の違いによるものと考えられます。さらに、欠点部では117℃をピークトップとした別の融解ピークも観測されました。このピークに関しては、顕微FT-IR測定結果と合わせて考察するとポリエチレン(PE)由来と考えられ、欠点はPPにわずかにPEが混合された成分であることが推察されました。

このように当社では、微小サンプルのより詳細な組成情報や熱挙動を把握することが可能です。

図3 欠点部のサンプリング後
図4 正常部および欠点部のDSC測定結果 
 (試料量:0.03mg、加熱速度:500℃/min)

その他の応用

  • 多層フィルムの各層の熱挙動
  • 成型部材の特定箇所の熱挙動の差異 
  • 微小部の結晶性差異
  • 混合物比率の確認

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