燃焼による挙動と二酸化炭素の発生量を評価できます
製品や原材料を燃焼する際に発生する二酸化炭素量を測定することは、環境保護や持続可能な開発目標(SDGs)に向けた取り組みの上で非常に重要なテーマです。当社で保有しているリアルタイムモニタリング示差熱天秤-質量分析装置(TG-MS)は、加熱環境などによる試料が変化する様子をリアルタイムに観察し、更に加熱時の重量減少とそれに伴う吸発熱の評価、発生ガスの種類やその量の算出ができる装置です〔図1〕 。今回、包装材や建築材、工業材に使用されているプラスチックフィルムについて、リアルタイムモニタリングTG-MSで燃焼させた際の熱分解挙動と二酸化炭素の発生量を分析した事例を紹介します。
フィルム燃焼による熱分解挙動と二酸化炭素発生量の算出
ポリ塩化ビニル(PVC)フィルムとポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをTG-MSの疑似Air(ヘリウムに酸素を20%配合したガス)下で測定した結果を示します。PVCフィルムは、300℃付近から重量減少が起こり、塩化水素の発生が見られました。また、400℃付近で二酸化炭素が発生していることがわかりました〔図2〕。一方でPETフィルムは、400℃付近から二酸化炭素の発生が見られました〔図3〕 。二酸化炭素の発生量はフィルムによって異なっており、PVCフィルムは1700mg/g、PETフィルムは3500mg/gと、フィルムの種類や配合による二酸化炭素の発生量の違いを評価することができます〔表1〕 。