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そのままの状態で三次元の成分分布がわかります

食品、化粧品、粘・接着剤などの製品開発において、構成成分の三次元的な分布を把握することは性能を制御する上で重要です。顕微ラマン分光装置は共焦点光学系によって、透明性が高い試料であれば非破壊かつ常温常圧下で試料内部の組成情報を得ることができます。この特徴を生かし、ハンドクリームの三次元の分布状態を数µm レベルの分解能で把握した事例を紹介します。

ハンドクリームの三次元成分分析

三次元像は、3µm 間隔で平面( XY )方向のイメージング像を取得し、それをZ軸方向に複数回繰り返し、再構成することで行いました。構成成分は3種類確認され、赤色の領域がミネラルオイル、青色は水、黄色がパラフィンと推定されました〔図1〕。また、三次元画像にして観察することで、ミネラルオイルが数μm 幅で網目状にネットワークを形成することで水を保持している様子が確認できました〔図2〕。さらに、ミネラルオイルと一部重なるようにパラフィンが塊状に存在している様子も認められました〔図2〕 。ハンドクリームはこのような組成・構造により適度な保湿性や硬度を実現していると予想することができます。

このように、3Dラマン分析では一つの断面からの分析だけでは捉えきれない試料内部の成分分散状態や形状を把握できるため、よりよい製品設計に繋げられます。

図1 各成分の顕微ラマンマッピング像(2D)
図2 ハンドクリームの3Dラマンマッピング像

その他の応用

  • コーティング剤、エマルション等の三次元成分分布評価
  • 応力、結晶性、配向性の三次元分布評価

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