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ヒアルロン酸の分子量を求めることができます

ヒアルロン酸は、N-アセチル-D-グルコサミンおよびD-グルクロン酸の2種類の糖が交互に結合した多糖であり、高い保水性、高い粘弾性を示します。これらの特性を活かして、化粧品や医薬品、サプリメントや食品など幅広い用途で使用されており 1) 、その市場は飛躍的に拡大しています。また、その特性は分子量の違いにより異なることが知られており、目的にあった分子量のヒアルロン酸が使用されています 2)。
高分子量のヒアルロン酸の需要は非常に大きい一方で、目的によっては吸収性の改善が要求されるなど、低分子化されたヒアルロン酸の需要も高まっています 3)。品質管理の観点からは、より分子量分布の狭い、均質なヒアルロン酸に対する需要があると報告されています 4)。
このようにヒアルロン酸の分子量や分子量分布、多分散度*を調べることは非常に重要で、サイズ排除クロマトグラフィーと光散乱検出器を組み合わせた手法(GPC-LS)を用いて求めることができます。
*多分散度:分子量分布の広がりを示す値で、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で算出されます。

 図1 ヒアルロン酸の構造

ヒアルロン酸の分子量測定

分子量の異なる市販のヒアルロン酸A(22万)およびB(98万)、ヒアルロン酸ナトリウム(Na)(54万)の分子量をGPC-LSで求めた結果を表1、図2に示します。分子量は公称値と良好な一致を示しました。微分分子量分布曲線〔図3〕を描かせることで、試料間における分子量分布の違いもわかります。示差屈折計(RI)を使用するGPCでは、標準試料の最大分子量が100万程度であることやカラムの排除限界の影響で分子量が小さめに見積もられるなどの問題があるため、標準試料を用いず、排除限界の影響を受けないLS 5)は非常に有用です。ヒアルロン酸の水分に対する影響や分解に対する前処理を工夫することで良好な結果を得ることができました。

 表1 市販ヒアルロン酸の分子量測定結果
 図2 市販ヒアルロン酸のGPC/LS測定結果
 (各溶出時間の分子量,実線:光散乱,破線:RI)
 図3 市販ヒアルロン酸の微分分子量分布曲線

参考文献
1),4)キッコーマン株式会社,ヒアルロン酸の製造方法,特開2012-23996,2012-02-09.
2)チッソ株式会社,高分子量ヒアルロン酸もしくはその塩の製造法,特開平10-113197,1998-05-06.
3)キッコーマン株式会社,ヒアルロン酸加水分解酵素及び該酵素を用いた低分子化ヒアルロン酸の製造方法,特開2009-60888,2009-03-26.
5)四方田千佳子,ヒアルロン酸ナトリウム製剤のSEC-MALLSによる分子量評価,国立医薬品食品衛生研究所年報,2003,vol.121,030-033.

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