有機物の加熱環境におけるCO2 発生量の比較
製品のリサイクルは、私たちの生活でも一般的な行為になっていますが、再利用やリサイクルができず、最終処分として焼却処分されることも多くあります。製品の焼却時には各種ガスが発生し、その中の二酸化炭素(CO2)は地球温暖化の要因のひとつであることが明確となっています。CO2 の削減は、持続可能な開発目標(SDGs)の13 「気候変動に具体的な対策を」や各種国際会議で取り扱われる重要な項目です。今回は、マスク、カイロやオムツなど、生活に欠かせない不織布について、汎用不織布および添加剤を付与した不織布を加熱した際に発生するガスに着目し、分析した事例を紹介します。
汎用不織布と添加剤を付与した不織布からの発生ガス量を比較
汎用不織布(汎用品)と添加剤を付与した不織布(添加品)を加熱した際の発生ガス量を確認するため、TG/DTA(熱重量/示差熱分析装置)およびTG/MS(熱重量/質量測定装置)を用いて分析を行いました。加熱環境は、疑似空気(酸素:ヘリウム= 20%:80%)としました。図1に示すように、添加品では重量減少の際に発熱がありませんでした。一方、図2に示すMS(質量測定)においては、300℃~400℃にかけて両試料から温室効果ガスであるCO2 や、間接的に温室効果を及ぼすCOが発生しているものの、発生量は添加品では大幅に抑えられていました。TG/DTAとTG/MSの結果より添加品で酸化が抑えられていることが示差されました。
今回は発生ガスに着目していますが、減化石燃料、天然素材利用などの取り組みにも、ラボスケールでの実験や製品確認で、分析面から課題解決に向けてご一緒いたします。