APPI法を用いた液晶モノマーの分析
芳香族や複素環式化合物などの非極性化合物は、LC/MSで汎用されるエレクトロスプレーイオン化法(ESI)や大気圧化学イオン化法(APCI)ではイオン化しにくい成分であり、成分の同定が困難でした。しかし今回、これらの化合物を大気圧光イオン法(APPI)を用いて分析できるようになりました。ここでは、液晶パネルの原料である液晶モノマーの分析事例を紹介します。
APPI法による含フッ素液晶モノマーの分析
大気圧光イオン法(APPI)法は試料溶液を加熱噴霧し、大気圧化でクリプトンランプから照射されるUVによって、分子から電子が放出される光イオン化を利用したイオン化法です。このイオン化法は、分子をイオン化エネルギー近傍でイオン化することにより、イオン化における余剰エネルギーを抑えてフラグメンテーションを抑制できるソフトなイオン化法です。
市販品の含フッ素液晶モノマー( C21 H25 F )を各イオン化法にてLC/MS測定したクロマトグラムを図2に示します。この化合物はUV活性がありますが(UV 254nmで検出)、ESI法やAPCI法ではイオン化しておらず、従来法ではイオン化が困難でしたが、APPI法ではUV 254nmと一致するピークが検出され、そのマススペクトル〔図3〕の分子イオンは、m/z 296.1912(M+・)として観測されました。
その他の応用
- 液晶モノマーの構造分析
- 難燃剤の同定