内部構造の形態変化を定量的に捉えることができます
燃料電池用部材の一つであるガス拡散層(GDL)は、ガスの拡散や発生した水の排出、また電気伝導の役割を担います。
これら機能を十分に発揮させるためには、炭素繊維を基本骨格とした多孔質構造を空間的に把握し、製品の特性と結び付けていくことが重要です。三次元構造を非破壊かつ高分解能で観察できるX線CT観察は、内部構造を把握する上で非常に有効な手法です。ここでは、燃料電池セルがスタック構造を取りGDLが圧縮されることを模擬し、GDLの内部構造変化を定量的に評価した事例を紹介します。
GDLの構造変化
MPL(マクロポーラスレイヤー)が付与されたGDLについて、X線CT観察を行いました。GDL中のカーボン繊維が重なり合って多孔質構造を形成している様子が確認できます〔図1〕。その後、試料に対し、厚さ方向に2MPa,4MPaと圧力を変化させ、in-situでのX線観察を行いました〔図2〕。
その結果、圧縮により空隙のサイズやサイズ別の割合が変化することがわかりました〔図3,図4〕。このようにX線CT観察と画像解析により、内部構造の変化を定量的に捉えることができます。
その他の応用
加熱、冷却、圧縮、引張の状態で観察が可能
- 設定可能温度範囲:-15℃~160℃
- 設定可能圧縮、引張力:最大5000N