精密分取を活用した熱不安定成分の分析(UPLC分取-MS, IR)
高分子材料は材料に応じた架橋反応を施し物理特性や耐久性を発現させています。その架橋剤の1つにラジカル系の架橋剤である有機過酸化物(パーオキシド)が使われており、その構造を把握することは製品の特性を評価するうえで重要です。有機過酸化物は熱不安定成分であり、熱劣化が生じない評価方法が必要となります。ここでは過酸化物(安定剤の芳香族有機溶剤含有)をUPLCで精密分取し、DI-MS (直接導入質量分析)およびFT-IRにて分析した事例を紹介します。
分析事例:過酸化物 (クメンヒドロペルオキシド) の成分分析
芳香族炭化水素類を含む有機過酸化物のHPLCクロマトグラムでは目的成分以外にも複数のピークが観測されています〔図1〕。これらの成分を図2に示すシステムにより精密分取し、分取成分のDI-MSとFT-IR分析を行うことで、有機過酸化物はクメンヒドロペルオキシドであることが同定されました〔図3,図4〕。
その他の応用
- 材料中の不純物分析,成分毎の組成分析
- フィルムや成型物中の添加剤の劣化成分の構造同定
- ポリマー樹脂の極性分布や組成分布の把握