排気ガスによる変色劣化成分の構造に迫ります
高分子材料は光・熱・大気暴露下などの様々な環境で使用されますが、その中で燃料の排気ガスなどに暴露されるケースがあります。排気ガス中には窒素酸化物などの酸化性ガスが含まれており、これらのガスが原因となり樹脂の変色や劣化が起こります。その要因の1つとして添加剤のNOxの酸化劣化による黄変があります。LC/FT-MS (液体クロマトグラフィー/電場型フーリエ変換質量分析計)では、LCで成分分離を行い、FT-MSで各成分の質量を高精度に測定することが可能です。得られた精密質量の組成演算を行うことで、成分の元素組成の推定ができます。ここでは、吸光度検出器(DAD)とFT-MSを用いて紫外線吸収剤のNO2酸化劣化物の構造解析を行った事例を紹介します。
紫外線吸収剤AのNO2酸化劣化成分の構造解析
紫外線吸収剤AのNO2ガス非暴露・暴露の外観〔図1〕とHPLCクロマトグラム〔図2〕に示します。NO2ガス暴露のHPLCクロマトグラムからは、黄色成分の吸収波長(450nm)でピークが観測され、同位体比率と元素組成からClを1つ含み、t-ブチル基がニトロ基に置換された化合物と推定されました〔図3〕。
その他の応用
- 原材料の不純物分析
- フィルムや成型物中の添加剤の劣化成分の構造同定