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液状試料の乾燥過程の観察が可能です

Liイオン電池(LIB)の電極材料や燃料電池の触媒層をはじめ、液状の有機無機複合材料を塗工した後、乾燥・シート化する製品は多数存在します。このような材料において、乾燥工程における形態(膜厚や分散物の凝集状態など)の変化を捉え、材料設計にフィードバックすることは、開発を進める上で重要となります。ここでは、従来観察が困難であった液体サンプルに対して、冷却手法を用いて乾燥過程の構造を観察した事例を紹介します。

カーボンインクの乾燥過程の観察

燃料電池の触媒層となるカーボンインクについて、基材上に一定の膜厚で塗工し、乾燥時間を変えて断面観察を行いました。なお、塗工後の試料は、液体を含むため、冷却・昇華の後、観察を行いました。その結果、インクは乾燥時間が長くなるに従い、溶媒の揮発が進み、塗膜が薄くなることが確認されました〔図2:A1~C1〕。また、塗膜の厚みは、乾燥過程の初期において、急激に減少することがわかりました〔図2:A1,B1〕。さらに、インクは溶媒の揮発が早い表面近傍のカーボンブラックから凝集が始まり、それらが集積することにより乾燥に至ることが確認されました〔図2:A2~C2,図1〕。このように、冷却SEMにより液中含有成分の経時変化を観察することが可能です。

図1 原液の凍結破断面SEM像(昇華後)
図2 各乾燥時間における塗工したカーボンインクの凍結破断面SEM像(昇華後)

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