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液状サンプルをありのままの状態でTEM観察することができます

含水材料(エマルション、インクなど)を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて形態観察する場合、通常は、観察用グリッドに液状サンプルを塗布・乾燥した後、観察する方法となります。しかしながら、この方法では、前処理により試料には乾燥や変形などが生じ、試料本来の構造を観察することが難しい場合があります。
そこで、試料を急速凍結させて液状の構造を固定化し、凍結状態を維持したままTEM観察を行うことで、ありのままの状態を観察することが可能となります。今回は水溶液中のリポソームを観察した事例を紹介します。

リポソームの急速凍結+クライオTEM観察

リポソームは脂質二重膜からなる閉鎖小胞であり、生体膜モデルやドラッグデリバリーシステム(DDS)として幅広い分野で注目されています。リポソームは溶液中・細胞膜内で機能を果たすことから、試料本来の形態(粒子径、表面形態、構造)を捉えることが特性評価の一つに繋がります。今回は、薬剤等を封入していない中空リポソームについて、急速凍結+クライオTEM観察を実施しました。
急速凍結した観察用グリッドの孔は均一に氷包埋されていることがわかります〔図1〕。また、その孔の一部を拡大すると球状をしたリポソームが固定化されており、水溶液中の構造を維持していることがわかります〔図2〕。詳細に観察することで、粒径は50nm~100nmであり、単層形態のリポソームであることが確認されました〔図3〕。

適用範囲

分散粒子サイズがサブミクロンのエマルション、インク材料、膨潤ポリマーなど

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