加湿環境における微小領域の組成分布がわかります
顕微ラマン分光分析は、微小領域の組成分布を把握する上で有効な手法です。さらに、加湿・加熱雰囲気の測定が可能なため、実際の使用環境に近い状態の評価ができます。今回、口腔内で易溶な錠剤について、加湿条件の変化に伴う含有成分の分布変化を調べた事例を紹介します。
加湿による錠剤含有成分の分布変化
口腔内で易溶な市販の錠剤について、室温で湿度を段階的に増加させ、400μm×150μm領域における含有成分の分布変化を顕微ラマンマッピング法にて評価しました。
★加湿条件【①⇒②⇒③の順で段階的に変更】
①初期 (室温25℃×40%RH)
②加湿 (室温×70%RH)
③加湿 (室温×90%RH)
①初期〔右図:上〕では、薬剤成分(A:赤)および添加剤成分(B:青、C:緑)の境界は明瞭で各成分が概ね独立して存在していることが分かりました。
次に、湿度を70%RHへ増加〔同:中〕させると、薬剤成分と添加剤成分が混在する領域(D:ピンク)が明確に現れ、加湿によって相溶することが確認されました。
更に90%RHへ加湿〔同:下〕すると、相溶がより進行している様子が捉えられました。
環境制御技術と顕微ラマンマッピング法を組み合わせることで、実環境に近い状態で微小領域の成分分布評価が可能となります。このような環境で得られた分析データは製品設計や改良を行う上で非常に有効です。