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樹脂の硬化(架橋)挙動を可視化できます

TD-NMR(パルスNMR)は、有機材料の分子運動性を、非破壊かつ迅速に評価できる分析装置です。分子の運動性と相関のある核スピンの励起・緩和現象に由来するT2緩和曲線を解析することで、高分子材料の架橋度などを相対的に比較評価・考察することができます。今回は、2液混合型のエポキシ系接着剤の硬化挙動をTD-NMRで追跡した事例を紹介します。

エポキシ系接着剤の硬化挙動分析

市販の2液混合型のエポキシ系接着剤を混合後に試料管に詰め、30℃で任意の時間毎に測定を行いました。
測定開始0, 20, 60分経過時のT2緩和曲線〔図1〕より、経時でT2緩和曲線の減衰が速く(緩和時間が短く)なっていることがわかります。 T2緩和時間は分子運動性と相関があり、緩和時間が短いほど分子運動性が低いことを示します。今回のサンプルは2液混合型のエポキシ系接着剤ですので、経時で硬化反応が進行していることがTD-NMR測定で示されています。更に、緩和曲線をカーブフィット解析することで試料中の分子運動性の低い成分と高い成分の比率と緩和時間を算出することができます。

図1 T2緩和曲線の例 【測定部の温度:30℃】

図2は、経時でT2緩和曲線を解析して得られた分子運動性の低い成分と高い成分のプロトン比とT2緩和時間の変化をグラフ化したものです。エポキシ系接着剤の硬化反応が開始してから経時で分子運動性の低い成分の割合が増加し、緩和時間も短くなっていることから、硬化反応が進行する様子を読み取ることができます。また、測定温度を変えることで、硬化速度の温度依存性を評価することも可能です。

図2 カーブフィット解析での成分比とT2緩和時間 【測定部の温度:30℃】

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