空間分解能1nmで材料の状態解析ができます
優れた導電性や熱伝導性、さらにコストの優位性から電子材料をはじめ様々な工業製品に用いられる銅は、他の材料との接合面となる表面状態をコントロールすることが重要です。EELS(電子エネルギー損失分光)を複合化したTEM分析を用いれば、微細加工された銅の特定部位(空間分解能1nm)の状態解析を行うことが可能です。
圧延銅箔の表面層を断面TEM分析した結果を図1に示します。圧延銅箔表面には膜厚8nm程度の表面層が形成されており(a)、同領域でのEELS測定(b)、および、TEM像のフーリエ変換パターン(c)の解析結果より、表面層はCu2Oと同定されました。また、表面層は5nm程度のCu2O微結晶から成ること(a)、さらに、Cu母結晶の(111)面を一致させたCu2O微結晶がエピタキシャル成長していること(c)がわかりました。