窒素,リン,硫黄系化合物を選択検出し、同定することができます
高分子材料には、機能の向上や維持のためにさまざまな添加剤が配合されています。添加剤の中には窒素(N),リン(P),硫黄(S)を含む化合物が多く、これらの検出にはガスクロマトグラフィー(GC)の検出器であるNPD(窒素とリン系化合物の選択検出器),FPD(硫黄系化合物の選択検出器)が有用です。当社では、これらの選択検出器と質量情報が得られる質量分析計(MS)の3つの検出器で、保持時間差0.05min以内の精度で同時検出が可能なGC/MS/NPD/FPDを所有しており、これによりN,P,S系化合物を高感度に選択検出し、さらに同定することができます。
ここではGC/MS/NPD/FPDを用いて、オイル中の添加剤を分析した事例を紹介します。
オイル中の添加剤の同定
オイル抽出液のGC/MS/NPD/FPD測定結果を図1に示します。GC/MS測定結果(上段:TICクロマトグラム)では、炭化水素の影響で添加剤のピークを確認することが困難です。しかし、NPD(中段)およびFPD(下段)では炭化水素は検出されませんので、保持時間13min(①)と23min(②)にピークが存在することが確認できます。①,②の各保持時間のMSスペクトルを取得して解析を行うと、図2のようになり、①は防錆剤と推察されるメルカプトベンゾチアゾール、②は酸化防止剤と推察される亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)であることが判明しました。このようにGC/MS/NPD/FPDは、夾雑ピークと重なった場合や多数のピークが存在する場合においても容易にN,P,S系化合物のピークを見つけだし、同定することが可能です。
その他の応用事例
- プラスチック材料の微量添加剤分析
- 臭い成分分析
- 腐食性ガス分析
- シリコーンなどの硬化阻害成分分析