固体NMRで材料の化学構造をそのままの状態で分析できます
概要
固体核磁気共鳴装置(固体NMR)は材料の化学構造や分子運動性について、溶媒に溶解させることなく、材料そのままの状態で調べることが可能です。したがって、溶解性の低い有機・高分子材料や無機化合物以外にも、溶解させることで状態が変化する(結晶,非晶など)材料にも有効な分析手法となります。以下に当社で導入した装置の概要や、応用事例についてご紹介いたします。
性能・仕様
弊社では、固体専用の装置として、300MHzおよび400MHzの2台を所有しています。また、400MHz の装置については試料管径の異なる複数のプローブを所有しています〔表1〕。測定可能な核種は1H,19F,31P~15N(13C,29Si,27Al,7Li,11Bなど)であり、測定核種や試料量、測定温度によって最適なプローブを使い分けています。
試料について
- 表1に示す試料管に均一に導入できるよう、試料は微粉末や細かく切断できる形状であることが必要です。
- ゲル状の物質や溶媒に浸漬させた状態の試料も測定可能です。
- グローブボックス内でのサンプリング、密閉下での測定も対応しています。
- 導電性試料については、希釈して測定する場合があります。
応用事例
- フッ素系ポリマーの共重合組成比解析、劣化解析
- 架橋シリコーン樹脂の構造解析、反応性官能基の残存量解析
- 硬化性樹脂の硬化度の相対比較、架橋構造解析
- 医薬品の結晶・非晶の識別、結晶多形解析
- ホウ酸塩、アルミノケイ酸塩など無機酸化物の配位構造解析 など