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 LC/FT-MSで光重合開始剤がわかります

アクリル系UV硬化樹脂には反応性アクリルモノマーの他に硬化反応を促進するための光重合開始剤が含有されています。LC/FT-MS(液体クロマトグラフィー/電場型フーリエ変換質量分析計)では、LCのUV検出器を利用することで光重合開始剤を特異的に検出でき、さらにそのピークの精密質量が得られるため、高精度な定性分析が可能です。ここでは、アクリル系UV硬化樹脂中の光重合開始剤をLC/FT-MSを用いて分析した事例を紹介します。

アクリル系UV硬化樹脂中の光重合開始剤の同定

アクリル系UV硬化樹脂のLC/FT-MS測定結果を図1,2に示します。LCのUVクロマトグラムとFT-MSのベースピークイオンクロマトグラムを比較することで、光重合開始剤がクロマトグラム上のどこに存在するかを見極めることが可能です。本試料の場合、UV(300nm)クロマトグラムから、5.3minと5.8minに光重合開始剤由来ピークの存在が示唆されました。これらのピークに対応するFT-MSスペクトルから、本試料には2-[4-(メチルチオ)ベンゾイル]-2-(4-モルホリニル)プロパン(①)と2,4,6,-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(②)が含有されていることが判明しました。本手法は、UV活性な成分の他、着色成分の抽出にも効果的で、黄変した樹脂成型品の原因成分の同定などに繋がります。

図1 アクリル系UV硬化樹脂のLC/FT-MS測定結果(上:ベースピークイオンクロマトグラム, 下:UV300nmクロマトグラム)
図2 アクリル系UV硬化樹脂のLC/FT-MS測定結果 (左:図1の①について, 右:図1の②について)

その他の応用事例

  • 添加剤中の不純物の定性
  • 硬化触媒の定性
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