共重合組成の分子量依存性がわかります
共重合ポリマーの共重合組成の分子量依存性評価には、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)の検出器にNMR(核磁気共鳴装置)を利用したSEC/NMRが有効です。SECで分子サイズ毎に分離された成分を直接NMRに送液して1H NMRスペクトルを取得するので、分子量分布に対するモノマー単位の含有量比の変化を詳細に解析することができます。ここでは、アクリル酸ブチル(BA)/酢酸ビニル(VA)共重合体の共重合組成の分子量依存性を調べた事例を紹介します。
共重合組成の分子量依存性評価
図1にBA/VA共重合体のSEC/NMR測定結果を、図2にSEC/NMRの1H NMRスペクトルから求めたSEC溶出時間毎のBAとVAの含有量比をプロットした図を示します。図2に示すとおり、溶出時間が遅くなる(低分子量)ほど、VAの含有量が増加していることがわかります。これは、BAと比較してVAの重合反応速度が遅いために、低分子量側にVAが偏ったポリマーが生成したと推察されます。このように、SEC/NMRはポリマー物性とも密接に関係する組成の分子量依存性を評価可能であり、ポリマー設計に非常に役立ちます。
その他の応用
- SEC/NMRモードでのUV硬化樹脂、接着剤、粘着剤、塗料における組成の分子量依存性評価
- LC/NMRモードでの不純物構造解析