界面活性剤の構造を詳細に解析できます
界面活性剤は分子内に親水性部位と疎水性部位を有しており、それぞれの部位の構造および両部位の組み合わせにより特性が変化します。このような材料の組成を調べるのに、MALDI-TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型質量分析法)は有効な手法であり、質量分解能、質量精度が高いことから、組成式を求めることが可能です。ここではプラスチックの防曇剤として用いられる界面活性剤を分析した事例を紹介します。
防曇剤の構造解析
2種類の界面活性剤(試料A,試料B)のMALDI-TOF MSスペクトル〔図1〕からは、m/z 400~1200の範囲に試料由来のイオンが検出されました。 得られたイオンの質量を元に構造を推察した結果、試料Aはソルビタンのパルミチン酸エステルが主であり、また、モノ-,ジ-,トリ-,テトラエステルが存在することがわかりました。一方、試料Bも同じソルビタンの脂肪酸エステルではありますが、パルミチン酸以外にステアリン酸が含まれていることがわかりました〔図2〕。また、ジ-,トリ-,テトラエステルにおいて、パルミチン酸とステアリン酸の混合エステルが存在していることが確認されたことから、試料Bは2種類の脂肪酸エステルの混合物ではないものと考えられました。
その他の応用
- UV硬化型樹脂(オリゴマー)の分子構造解析
- 染料・顔料の分子量測定
対象試料
- 分子量10,000以下の不揮発性有機,高分子化合物