ナノオーダーの精度で表面形状がわかります
透明導電性フィルムは、抵抗膜方式タッチパネル用電極、静電電波シールド、表示用電極等の用途に使用され、 LCDの軽量化に貢献しています。一方AFMは極微細な凹凸をナノスケールで数値化評価する事が可能です。
スパッタ蒸着法で成膜したITO膜表面を相対比較した事例を紹介します。
ITOフィルムのAFM分析
ITOスパッタ蒸着膜の表面粗さは、ITOフィルムの抵抗値に影響を及ぼすので、ナノメートルオーダーの微細な凹凸を評価することは、非常に重要です。ここでは、PETフィルムにITOを成膜したもの〔図1〕とPETフィルムにアンカー処理を施し成膜したもの〔図2〕を示します。この様に、アンカー処理したITOフィルムの方が未処理ITOフィルムより平滑であることが明らかとなりました。
ITOフィルムの表面観察
ITO表面のAFM像では、大きさ10nm程度の粒状物が表面全面に存在していることが判明しました〔図3〕。一方、TEM像では、高さ情報があまり得られません〔図4〕 。これは、「AFMはZ方向の分解能が極めて高い!」という現れです。また、画像はどの場所においても、(x,y,z)の座標の集合体ですので、様々な画像処理が行なえ、例えば、「平均面粗さによる試料間での数値比較」が可能です。
その他の応用
・フィルム表面の微小形状の観察
・LCDパネル配向膜の観察
・セラミック材料,複合材料,ポリマーアロイ等の微細形状や形状分布 など