多層デバイスの断面,界面を元素分析できます
FE-AES(Field Emission Auger Electron Spectroscopy)では多層構造を有する材料の厚みや元素の拡散状態の評価は、一般的にArイオンスパッタを用いた深さ方向分析で行います。しかし、複合材料の場合、元素のスパッタ収率が未知であったり、スパッタによる特定元素の濃化、さらにはアトミックミキシングといった影響から正確な深さ方向への情報が得られないことがあります。このような場合、FIB (Focused Ion Beam)加工装置で作製した断面試料を用いると高い精度で定性分析, 線分析, 面分析が可能になります。ここでは、TEG (Test Element Group)ウエハをFIBで試料調製し、 FE-AESで断面から多層薄膜の元素情報を的確に評価した事例を紹介します。
TEGウエハの断面分析-1
TEGウエハはp-TEOS(Si系有機物)上に3層構造を有する構成になっています〔図1〕。各層の元素分析を行うことでA層がTiN、B層がAl-Cu、C層がTiであることが判ります。また、図2に示す元素マッピング像では内部に存在する10数nm厚の極微細なTi層を精度よくイメージングできています。
TEGウエハの断面分析-2
分析事例1ではTiN/Al-Cuの界面、Al-Cu/Ti/p-TEOSの界面、そしてTi層への他元素の拡散状態を正確に評価するのは困難です。 このような場合、FIB加工を斜め方向(通常は分析事例1のように垂直方向)に行い、界面を拡大させると、FE-AESで十分分析可能なサイズになります〔図3〕。
その他の応用
- 半田メッキ接合部の合金層評価
- 記録媒体(磁気テープ)中の磁性微粒子の分析
- 多層メッキ膜の分析 など