何が、どこに、どのような状態で存在するかわかります
多層かつ有機複合材料である電子材料では、配線間に存在する異物が不具合の原因となることがあります。複数の工程で作られる製品では異物の成分だけでなく、どの工程で発生した異常であるかを突き止めることが必要です。断面観察から異物の存在層および組成を明らかにすることにより、どの工程で何が発生源として異常が生じたかを解明することができます。当社の断面調製,観察および分析の技術は、更なるファインな材料の故障解析のお役に立てます。
回路材料内部の異物の分析
異物表面からの光学顕微鏡写真,断面FE-SEM-XMA分析結果およびμ-FT-IR分析結果を示します。
FE-SEM-XMA分析およびμ-FT-IR分析の結果、SiおよびTi化合物とエステル系化合物が主成分の塗膜のような異物として、配線間の接着剤層に存在していることが確認されました〔図1~4〕。異物が接着剤層に存在していることから、貼り合わせる工程で異常が発生していると推定されました。
表面からの分析では異物の存在箇所の特定は困難です。長径50μm以下の微細な領域であっても、断面FE-SEM-XMA分析により異物の存在箇所および構成元素が明らかにできます。また、異物の断面を露出させることで、マニピュレーターを用い異物を掘り出して分析できます。以上のことから、成分だけでなく異物の存在箇所の同定もできる断面からの分析の有効性が示されました。更に、表面近傍に埋没している異物に関しても適用可能であることが確認されました。